日記

嫌な空気を吸っては吐いて、嫌な役回りだった、なんて俯瞰して今日も終わった。

台本の無い1日に憧れて大人になった。

時は流れる、なんて表現をするけれど流れは勢いを増すどころか犯した過ちと後悔を数える暇も無くすほどに淀みを蔑んで過去になった。

 

終電間近の車内はアルコールの艶やかさを剝ぎ取って、吐き気を催す嫌悪の渦で僕を取り巻いた。

ああ、大人って汚いな。それだけの感想でしかなかった。
大人だから、大人になったから、そうやって周りの人間を見下して生きることのほうが楽だった。全部。全部。全部、全部、全部、アイツはガキだから。

夜、月がぼんやり輝く空を見上げて無敵になったつもりになれば、自信なさげに微笑むあの子の笑顔がより一層手の届く場所にいるような気がした。伸ばした手が月光に揺られて、白く輝いた。

明日の夢は、少しでも現実味を帯びてセリフのあるものであればいい。
白く、台本の無い脚本が、明日を綺麗な言葉で拙くとも美しく、儚く照らしますように。流れる血がより鮮やかでありますように。